はじめに

PCのセットアップは1台ずつ手作業で行うことはできますが、組織の場合、PCの台数が増えてくるにつれて、手間と時間が非常に増えて1台ずつセットアップすることがとても難しくなってきます。また、セットアップ内容の量が多くなれば多くなるほど、作業ミスが発生する確率が高くなるかと思います。そうなると、1台のPCにかかるセットアップ時間を短縮する必要が出てきます。方法としてはシステムイメージまたはディスクイメージの展開を実行すれば良いわけです。

※展開とは:Windowsを1台セットアップし、その設定情報を吸い上げて他の多数のマシンにコピーしていく作業のことです。
※例えば:1000台のPC全てに共通するOS・ソフトウェアのインストールや設定などを1台のPCで行い、そのPCのハードディスクを他の999台のPCにコピーするようなイメージになります。コピーするハードディスクの内容はディスクイメージと呼ばれます。
※サーバーコンピューター(Windows7以降のシステムがインストールされている必要があります。そうでない場合はWindows AIK/ADKをダウンロードする必要があります)、すべてのクライアントコンピューター、NASまたはネットワーク共有(保存されているWindows10 ISOファイル)が同じネットワークセグメントと同じLANにあることを確認してください。

多くのシーンでは

しかし、システムイメージを同じドメイン内の他のパソコンに展開したあと、SIDが重複するので、不具合が生じることが多いです。例えば、IPアドレスの競合により、一部のコンピューターはドメインから離脱されます。また、同一ドメイン内に同一SIDを持つ複数台のコンピューターがある場合、セキュリティ的に問題もあると思われています。

※SID【セキュリティ識別子/Sercurity IDentifier】とは、Windowsのユーザーアカウントやユーザーグループに与えられる、固有の識別番号です。

システムイメージまたはディスクイメージを作成するためのソフト(例えば、AOMEI Backupper)は世の中に沢山ありますが、ほとんどの場合、イメージ展開ツール(例えば、AOMEI BackupperのAOMEI Image Deploy)を使ってイメージを展開する前にSysprepを使ってPCの固有情報(例えば、SID)を消去する必要があります。

Sysprepというのは一体何でしょうか?

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によりますと、Sysprep(System Preparation Utility)とは、マイクロソフトによるWindowsオペレーティングシステムを展開するためのシステム準備ツール・ユーティリティーの名前です。現在このツールの実行ファイル名はSysprep.exeです。

簡単にいうと、SysprepはたくさんあるWindows OSマシンに同じような設定を入れる時の展開作業効率化ツールです。Windowsオペレーティングシステムのインストールでは、インストールごとに一意に生成される多くの要素があり、多数のコンピューターにディスクイメージを複製して展開する前にSysprepを使って共通設定情報を消して一般化しておく必要があります。SIDというOS特有な情報を削除するほか、イベントログ、ネットワークの設定、OS のライセンス、ドライバキャッシュなども消去されます。

SysprepでSIDを削除してからイメージを展開する手順

PCを複製するために、まずは複製元のマスタPCをセットアップします。そして、そのマスタPCからSysprep /generalizeコマンドを実行してSIDを削除します。専用のツール(例えば、AOMEI Backupper)を使ってシステム/ディスクイメージを作成します。最後は、AOMEIイメージ展開ツールを使って、そのイメージを複数のコンピューターに展開します。

※準備:操作を実行する前に、AOMEI Backupperを使ってブータブルメディアを作成してください。

手順 1. PCにあるパーティションの情報が記録されるためにSysprepを使ってSIDを削除する前に、AOMEI Backupperを実行してください。

手順 2. Sysprep.exeでSIDを削除します。

1. WindowsキーとRキーを同時に押すか、左下のWindowsアイコンを右クリックすることで「ファイル名を指定して実行」を開きます。sysprepと入力し、Enterキーを押し、sysprep.exeを見つけます。
2. sysprep.exeをダブルクリックして起動します。「システムのOOBEに入る」(意味:初期セットアップに入る)を選択し、「一般化する」(意味:SIDなどの固有情報を削除する)にチェックを入れ、「シャットダウン」(意味:Sysprep 実行後はシステムをシャットダウンする)を選択します。
3. OKをクリックし、Sysprepアプリは操作を実行します。操作が完了した後、コンピューターが自動的にシャットダウンします。

sysprepと入力

sysprepを起動

SysprepでSIDを削除

sysprepコマンドを実行してSIDを削除するには、Windowsコマンドプロンプトを使用することもできます。
WindowsキーとRキーを同時に押し、cmdと入力し、Enterキーを押し、コマンドプロンプトを起動します。以下のコマンドを順に入力し、各コマンドを入力した後、Enterキーを押すことを忘れないでください。
c:
cd c:\windows\system32\sysprep
sysprep.exe /generalize /oobe /shutdown

手順 3. 前もって作成されたブータブルメディアを使って、コンピューターを起動します。

ヒント:sysprepを実行した後、すぐにブータブルメディアからWinPEを起動してください。ブータブルメディアを使用せずWindowsシステムを起動する場合は、新しいSIDが作成されるため、前のすべての手順を繰り返してSIDをもう一度削除する必要があります。

手順 4. WinPEでフルシステムバックアップまたはフルディスクバックアップを作成します。

手順 5. AOMEI Image Deployを実行して、バックアップイメージを複数台のコンピューターに展開します。